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キングコング西野さんの戦略を考える2

以前、岡田斗司夫さんが、「ダウンタウンの凄いところは、笑いをわかる人・わからない人、という線をお客の間に引き、お客の中で上下関係を作った。」と、そのような発言をしていまた。今のお笑い芸人さんは、「何でこの笑いがわからないのか」という発言をするようになったのは、ダウンタウンの影響だということです。

私は、その話を聞いて、つまりダウンタウンの凄さは「人を笑わせるやつが、何より一番すごい」という価値観を、若い世代に植え付けたところだと考えるに至りました。どんなに、勉強・スポーツ等ができても、笑わせる人間が一番という価値観です。

お笑い芸人さんが元々、そんな価値観やプライドを持ちつつも、ダウンタウンのように、公然と口に出してしまうことは、なかったのでしょう。

 

 

そしてキングコング西野さんの場合。

ダウンタウンが広めた「人を笑わせるやつが、何より一番すごい」という価値観を持っていますが、「笑い」を「面白い」に変化させ、『面白がらせるやつが、何より一番すごい』という世界観に立ち、様々な活動をしています。

普通お笑い芸人が書籍を出す場合、軸足はお笑いに置いていますが、西野さんは絵本を出す段階で、軸足を『面白がらせる人』に移しました。 『面白がらせる人』がお笑いをやり、絵本を作っているという構図です。

つまり、西野さんは「お笑い芸人」でも「絵本作家」でもなく、それらの上層の概念として『面白がらせる人』を作り上げたのです。その結果、「お笑い芸人」と「絵本作家」両側から敵視されることになりますが、しがらみがなく、自由な活動ができています。

 

例えば、“えんとつ町のプペル”では、数多くのクラウドファンディングをしかけ、30人ものクリエーターと共作し、一万冊の本を自腹で買って自宅から通販し、光る原画を作って個展を開催し、曲を作って自身の企画するイベントで歌い、渋谷でハロウィン後のゴミ拾いをし、アメトーク“スゴイんだぞ 西野さん”で東野さんにいじられ、ネットでの炎上を繰り返す、と私が知っているだけでも、これだけの活動をしています。実際は、説明できないくらい入り組んでいて、もっと多岐に渡っています。

それら、全て“えんとつ町のプペル”を売るために仕掛けられたものです。

 

重要なのは、自身の絵本を売り込むことに必死なのではなく、売り込んで数字を上げるという分かりやすい目標を掲げ、それに対するアプローチを考え、実践することをパフォーマンスとして『面白がらせて』いるのです。

さらに重要なのは、西野さんのファンもこの活動に協力している点です。絵本を作る段階から、クラウドファンディングにお金を出し、西野さんの講演会や光る原画展をファンが主催し、ファンが販売促進のための提案までしています。

 

つまり、西野さんにとって“えんとつ町のプペル”は、ファンと共同作業するためのツールなのです。“えんとつ町のプペル”の売れた冊数は、ファンにとっても分かりやすい成果となり、ファンは自分の本が売れるように喜びを感じるのでしょう。

 

因みに、度々炎上を繰り返す西野さんですが、勿論それも戦略の内。わざわざ綺麗すぎる話は、咬みつかれる余地を残して、少し汚く仕上げるというよなことまでやっています。また、軸足は『面白がらせる人』に置いてありますが、もう一方の足は平気で分野の垣根を超えて、違う分野に土足で入ってしまうために、その分野専属でやっている人からの批判もあるでしょうが、それすら議論の種にしてしまいます。議論になれば、利するのは西野さんだけという、前回の記事の構図です。

ただしファンは、戦略とはいえ、こうした西野さんの外交姿勢のため、友達に公言できないといった弊害もあると考えられますが、当の本人は、ファンの結束が高まって良いと思っているのでしょう。

 

正に戦略家です。