VALU騒動はヒカルの戦略?

ここのところヒカルというユーチューバーが話題となっています。

簡単にこの騒動を説明すると、このヒカル氏がVALUという個人を株式会社と見立てて投資をしてもらうVALUというサービスにおいて、自身の発言力を生かして投資を呼びかけて値を釣り上げた後、株を安く大量に販売した結果、高値で株を買った投資家が大損したというものです。

ここで、一番の問題となるのは、このヒカル氏が所属する事務所のユーチューバーたちがヒカルと全く同じ行動をとり、尚且つ、その事務所の関係者が、株の大量放出直前に所有していたユーチューバーたちの株を売り抜けたことです。この行為がインサイダー取引か詐欺に当たるのではないかという指摘が相次でいます。

 

私も今回の騒動で知ったのですが、VALUの取引は売値と買値が一致しないと買えないそうです。いくら高額の買注文を入れていても、売り手がその値段で売るという選択をしない限り、その買い注文は一向に成立しません。つまりタイミングと値を教えることで、売り手は買わせたい相手を選んで買ってもらうことができるのです。この仕様によって、インサイダーと言われる行為が簡単にできるのですが、これがVALUの運営側の落ち度かと言われると、そうは思えないのです。

VALUの利用規約では、単純に金銭の利益のみを求める投機的な行為は認めていません。そうは言っても、値が上がるからと買う人はいるのですが、VALUの買い手を選べるという仕様によって、売り手の個人的に近しい人に自身のVALUを安く売りたいと思うのが人情でしょう。そしてVALUは売り手個人の評価や信用の大きさによって、値上がる仕組みなので、それはつまり買う側にも評価や信用を求められるているのです。

実際の株取引では、公平な競争の妨げとなるインサイダーは禁止されていますが、それは貨幣獲得競争だからです。VALUは言うなれば、個人の評価、或は人脈の獲得競争であって、そこで投機的な公平性と反するとしても(理念上)全く問題はありません(法律上は問題かもしれませんが)。

 

そう考えると今回の騒動は、ヒカル氏側が仕掛けた炎上だと考えられます。現在ヒカルは過去の最高値での自身のVALUの買い戻しを提案しており、既に損を確定していない人であれば救済されるようです。純粋にヒカル氏を応援したいと思ってVALUを買った人は、いくら暴落しようがそのVALUを手放さず、逆に投機と考えてる人は損切りしたのでは。最終的に損をしたのは投機家だけであるという、良くできたシナリオだったのかもしれません。

最後に、私自身はヒカル氏を擁護するためにこの記事を書いたのではく、炎上商法的なやり方は嫌いだし、今回の行為は道義上の問題もあると考えています。ですが、評価経済社会的な見方ではどうなるのかなと思い、記事にした次第です。