物語のつくりかた

このブログは、“戦略の階層”を元に始まりましたが、この階層という考えかたは非常に大切です。まさに今、実感しています。

実は友人に勧められて、アニメ「ちはやふる」を見たのですが、その中に出てくる小野小町の和歌の解釈を調べていたところ、何通りかに分かれていました。そして、この和歌も階層構造でできていると気付きました。

私は、解釈が2つある和歌の場合、今までは2通り並列の解釈があると考えていたのですが、実は作者は並列ではなく、縦方向、或いは奥行方向に2つの解釈ができるように配置していたのです。つまり、作者は意図して、階層構造を作っており、1つ目のレイヤーでの解釈の、一層深い部分に2つ目のレイヤーを存在させています。

そして、私がみたこの小野小町の和歌は、2つどころではなく、何階層ものレイヤーに分かれていることを予感させます。

和歌の一つ一つの言葉に2つ以上の意味があり、それらが掛け合わされるので、和歌全体として、膨大な組み合わせができ、その組み合わせの中で意味の通るものが、一つのレイヤーを形成する。そんなイメージです。

 

この階層でみる考え方は、全ての芸術についても応用可能であると気づきました。私以外の人は気づいていたのかもしれませんが、教えてもらったことはありませんでした。

 

私が今取り掛かっている人形劇の物語も、この考え方で作りたいと考えました。勿論和歌ほどの作り込みは到底難しいですが、1つ目は子供が見て楽しめるレイヤー、2つ目は子供に考えさせるレイヤー、3つ目は親が子供に見せたいと思わせるレイヤー、4つ目は親に向けてのレイヤー。そのような階層構造で考え、どのレイヤーも一つの絵として見られるように作ることで、様々な人に向けた物語になるのではないかと思います。

一見した時に、幾重にも重なる階層が感じられることが、優れた作品の一つの指標なのでしょう。